広島市西区の閑静な住宅街。
K様夫婦はご主人の祖父母が残してくれたこの敷地に家を建てました。
庭には、生前ご主人の祖父がつくった日本庭園がそのまま残され、隣には父母が住んでいる恵まれた環境です。
庭をそのまま残したのは祖父との思い出を大切にしたかったから。
「この庭を手入れしていた祖父の姿をよく覚えていますから」というご主人。家を建て替えるにあたり、祖父母が住んでいた頃の庭や敷石、生垣はそのまま残し、外観にも和の佇まいにこだわりました。さらにアプローチの脇には、新たに庭をつくり、自分たちらしさもプラスしています。
家族が集まるリビングやダイニングからも祖父の庭を眺めることができるように計画しました。南向きの窓からは、各部屋に日差しがたっぷり入り、冬には窓際に心地良いひだまりができます。南側を吹き抜けにして、上階の窓からも日差しを取り込む「日当たりの良いリビング」をつくりました。断熱・気密性能を高めているので、天気が良い冬の昼間は暖房なしで暖かく過ごすことができます。
また、吹き抜けには写真のように階段を取り付けています。
もしもリビング以外の場所に階段室(吹き抜け)をつくると2坪を超えてしまいます。耐震性能の弱点となる吹き抜けの大きさを2坪以内にするため、リビングの吹き抜けを利用して階段を設置しています。階段は、窓の外の景色や、日当たり、風通しの邪魔にならないように、軽やかなデザインのストリップ階段です。
【いつでも庭を眺められる大きな窓】
南側に面した深めの軒は、季節や時間によって変わる日照角度を計算してつくったもの。
夏の強い日射が室内に入ってくるのを防ぎます。
合わせてハニカムブラインドを下ろせば、より効果的。
光は透過するので室内が薄暗くなることもありません。
また、この家は断熱性と気密性を高めているため、外の暑さの影響を受けにくく、真夏でもエアコン1台だけで快適に過ごせているそうです。
さらに太陽光発電を搭載しているため売電によって、「暑かった夏も電気代は黒字でした」と奥様はうれしそう。
もうすぐ生まれてくる赤ちゃんとともに、快適な暮らしに大満足のようです。
キッチンカウンターは高めに設け、手元に調味料などの収納場所をつくりました。
外から見ても手元が見えないので、来客時も雑多なシンクや調理作業が丸見えになることもありません。
キッチンに立つと目に入ってくるのは、入り口のヒノキ柱とスギの美しい格子。
空間を完全に仕切るのではなく、光や風を通し、向こう側の気配も感じられる格子は、オープンなLDKプランにおすすめのアイテム。聞けばご主人が「格子好き」とのことで日本的な直線美が家のそこここに配され、夫婦の目を楽しませています。